乳び血清

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血清中の中性脂肪(TG)には、食後、腸管から吸収され血中に現れる外因性TGと、肝臓で合成され放出される内因性TGの2種類があり、外因性TGは、リポ蛋白粒子中のカイロミクロン(CM)に含まれ、内因性TGはVLDLに含まれます。

一方、TG等の脂質は油で水に溶けないため、血管内を循環するためには蛋白(アポリポ蛋白)と結合し水溶性を保っていますが、CMにはアポリポ蛋白はほとんど含まれて含まれておりませんので、血中のCMが増加した状態では血清が乳汁のように濁って見えます、これを乳び血清と言います。

CMの中身はほとんどがTGですので、血清が乳びを示すほどCMが増加している場合は当然ながらTG、即ち、食事由来の外因性TGが高値を示します。

外因性TGが最も高くなるのは食後4~6時間辺りで、この時間帯での採血では外因性TGが上昇し乳び血清となることがありますが、健康者や脂質代謝に異常ない人では、食後4~6時間でもTGが250mg/dlを超えることはなく、血清が乳びを示すこともありません。この時間帯の採血でも強い乳びを示し、TGが1000や2000mg/dlを示す人では明らかな脂質代謝異常があり、とくにTGの分解がうまくいっていないケースですので、再度、15~16時間空腹後のTGの測定を行うと共に、TG上昇の原因の究明や改善を早急に行う必要があります。

とくに慢性アルコール中毒者やお酒を多く飲む方では、空腹時でも血清に強い乳びを認め、血清TGが1000や2000mg/dl以上を示すケースがありますが、そのような症例には慢性膵炎が存在する例も少なくなく、直ちに禁酒すると共にTGの低下措置を講じないと、慢性膵炎の増悪や劇症化を招き、生命の危険にさらされる例もあります。

 

引用元: 日健北九州/健康管理/血中脂質/中性脂肪/血清乳び.