尿試験紙の基本手技
尿をよく撹拌し、試験紙部分を完全に浸す。
容器の縁などで試験紙についた余剰尿を取り除く。
判定時間を守って比色表で比色判定をする。(試験紙は水平に!)約1000ルクスの昼光色の蛍光灯下で判定する。
尿色調異常
尿色調異常とその原因
1. 殆ど無色:尿崩症、糖尿病、腎不全
2. 黄~蛍光黄色:アドナ、ビタミン剤(リボフラビン、カロチンなど)
3. 黄~黄褐色:ビリルビン、ウロビリン
4. 赤~赤褐色:ヘモグロビン、ミオグロビン、ポルフイリン、メトヘモグロビン
・酸性尿において:アンチピリン、サルファ剤、ビート、尿酸
・アルカリ尿において:大黄、センナ、ソルベン、PSP、リファンピシン、フェノールフタレイン
5. 褐~黒色:メトヘモグロビン、メラニン、メチルドパ、L-dopa、アルカプトン、キニーネ
6. 緑色:ICG、緑膿菌、ビリルビン、食用色素(マラカイト緑)
7. 青色:エバンスブルー、メチレンブルー、インジゴカルミン
8. 乳白色:脂肪乳(乳縻尿)、膿尿(尿路感染症)
溶血
溶血とは、赤血球の細胞膜が、物理的または化学的、生物学的など様々な要因によって損傷を受け、原形質が細胞外に漏出して、赤血球が死に至る現象である。血液には白血球やリンパ球など、赤血球以外の血球成分も含まれているが、「溶血」は赤血球についてのみを対象とした用語であり、赤血球以外の細胞の崩壊について溶血という語を用いることはない。
溶血を起こした赤血球は、あたかも溶けてしまったように細胞としての形や大きさを失って崩壊し、漏出したヘモグロビンによって細胞外の溶液(血漿など)が赤く着色する。溶血前の、正常な血液や赤血球を生理食塩水などに浮遊させた溶液(赤血球浮遊液)は、赤色不透明な懸濁液であるが、溶血を起こすと赤色透明な溶液に変化する。
乳び血清
血清中の中性脂肪(TG)には、食後、腸管から吸収され血中に現れる外因性TGと、肝臓で合成され放出される内因性TGの2種類があり、外因性TGは、リポ蛋白粒子中のカイロミクロン(CM)に含まれ、内因性TGはVLDLに含まれます。
一方、TG等の脂質は油で水に溶けないため、血管内を循環するためには蛋白(アポリポ蛋白)と結合し水溶性を保っていますが、CMにはアポリポ蛋白はほとんど含まれて含まれておりませんので、血中のCMが増加した状態では血清が乳汁のように濁って見えます、これを乳び血清と言います。
CMの中身はほとんどがTGですので、血清が乳びを示すほどCMが増加している場合は当然ながらTG、即ち、食事由来の外因性TGが高値を示します。
外因性TGが最も高くなるのは食後4~6時間辺りで、この時間帯での採血では外因性TGが上昇し乳び血清となることがありますが、健康者や脂質代謝に異常ない人では、食後4~6時間でもTGが250mg/dlを超えることはなく、血清が乳びを示すこともありません。この時間帯の採血でも強い乳びを示し、TGが1000や2000mg/dlを示す人では明らかな脂質代謝異常があり、とくにTGの分解がうまくいっていないケースですので、再度、15~16時間空腹後のTGの測定を行うと共に、TG上昇の原因の究明や改善を早急に行う必要があります。
とくに慢性アルコール中毒者やお酒を多く飲む方では、空腹時でも血清に強い乳びを認め、血清TGが1000や2000mg/dl以上を示すケースがありますが、そのような症例には慢性膵炎が存在する例も少なくなく、直ちに禁酒すると共にTGの低下措置を講じないと、慢性膵炎の増悪や劇症化を招き、生命の危険にさらされる例もあります。
引用元: 日健北九州/健康管理/血中脂質/中性脂肪/血清乳び.